始業式、その後に
明けましておめでとうございます。
今年もこのブログを通して、学校の取り組み(とくに先生側の)を紹介していきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。
さて、今日は始業式で、生徒は掃除とHRを終えたらすぐに帰ってしまいました。
午後は先生方で集まって、スーパーバイザー・ミーティングを行いました。
国際バカロレアMYPの修了要件に「パーソナル・プロジェクト」というものがあります。
簡単に言えば、生徒が個人で好きなテーマを選び、自分で取り組んでいくという活動です。
生徒は自分で決めたプロジェクトに、中3〜高1にかけて1年近く取り組むのですが、その生徒の活動をサポートするのが「スーパーバイザー」です。
今日行ったのは、そのスーパーバイザーの先生方(ほとんどの先生が担当します)に向けて、生徒のプロジェクト学習をどのようにサポートすれば良いか、という研修会なのです。
今日は、プロセスジャーナル(活動日誌)の書き方について学びました。
生徒の自主的なプロジェクト学習と言っても、IBO(国際バカロレア協会)によってさまざまな決まりがあります。
そのうちの一つに、生徒はプロジェクトに取り組んでいる間は、プロセスジャーナルを作成すること、というものがあります。
プロセスジャーナルのスタイルは自由です。
ほとんどの生徒はPCのドキュメントを使って記録していきますが、手書きノートや写真、音声データで記録していくこともできます。
その内容としては、
アイデアメモ
読書記録
ウェブの抜粋
計画表
面談記録
制作過程の記録
振り返り
など、自分のプロジェクトの進行に必要であれば何でも日誌に書いていきます。
これらを生徒が自分で取り組んでいくのです。
もちろん、全員が最初から上手くできることはありません。
そのためにスーパーバイザーがいて、生徒のプロジェクトが滞っていたら、その都度サポートしていきます。
IBの要求はなかなか大変なことが多いのですが、それによって教える側が、プロジェクト学習のノウハウを学べているところも大きいです。
カードを使った教員研修
これは、アクティブ・ラーニングを行うために有効なポイントや教師の心がまえなどが、キーワード、短い説明、イラストなどでカードになっています。
グループの構成は、学年、教科、年齢がなるべくばらばらになるように組みました。
ウォームアップは教頭より、
「主体的・能動的学習とは( )であるが、( )でない」
この( )に入る言葉を考えて、グループで共有しましょう。
という課題が出され、メンバーに自分の考えを伝えていきます。
このような答えのない問いについて考える活動を通して、発言するハードルを下げ、お互いに何でも自分の意見を言い合える雰囲気を作ります。
最初のセッションは探究型授業について。
カードを机の上に並べて、自分が普段から意識して取り組んでいること、得意としていることについて、発表していきます。
それが終わったら、自分は上手く出来ていないから他の先生がどうやっているか聞きたい、という項目を選び、グループのメンバーに質問していきます。
さらに、何枚かのカードを持って代表者が、他のグループに意見を聞いてくる時間も設けました。(ワールド・カフェ方式)
今回は、いつも以上にワークショップスタイルの研修が盛り上がっているように感じました。
このカードを使って感じたメリットを挙げておきます。
カードを使うことで、共通のキーワードや観点についてのディスカッションがしやすくなりました。
また、カードに書かれていることは抽象的な内容なので、ディスカッションではなるべく具体的な話をしてほしいとお願いしてありました。それにより、自分の経験をみんなで共有するような話し合いになっていったと思います。
自分が出来ていないことを話すのは勇気がいりますが、カードを使うことで苦手なことを他の先生に聞いてみる、というのが気軽に行えるのも良い点でした。
とくに、普段の研修会ではIB担当の先生が、他の先生にやり方を教えるという流れになりがちなのですが、今回はカードを使うことで、それぞれの立場や経験から効果的な方法を提案する話し合いになっていました。
後半のセッションでは、本校の目玉行事であるフィールドワークについて、
さらに良いものにするにはどうすればよいか、
これもカードを使いながら検討していきました。
午前中をフルに使った研修会はなかなか疲れますが、問題点を共有し、経験を交換し合う良い機会になったと思います。
概念を授業づくりに活かす
今日の職員研修では「概念」と「探究の問い」がテーマでした。
IBには「指導の方法」というものがあり、IB教師はそれを守ることが求められます。
その中には、
探究を授業の中心にするとか、
生徒の概念的な理解を促す、
というものがあります。
「概念」とは、変化・関係性・コミュニケーション…といった抽象化されたキーワードです。
IBではこれらのキーワードを用いて授業をつくり、
今までに学んだことをこれから学ぶことを結びつけたり、
他教科との連携をとりやすくするのです。
この「概念」という考え方は、これまでの一般的な授業づくりではほとんど用いられてきませんでした。
そのため、なかなかどう扱っていいのか悩ましい。
まだまだ学んでいかなければなりません。
サービス&アクション
最近のIB朝礼では、生徒によるサービス&アクションの報告会が行われています。
サービス&アクションとは、MYPの要件で、校内や校外で一定時間奉仕活動を行う、というものです。
先日は、近所のタイ料理屋のメニューをデザインしたプロジェクトについて、
今日は、日中青年会議に参加した経験について、
代表生徒がスピーチをしてくれました。
保護者有志で哲学対話
本日、保護者有志による哲学対話が行われました。
以前保護者会の企画で行ったところ好評だったため、今後できれば定期的に実施していきたい、というご意見をいただいていました。
そこで、有志企画でやってみることにし、今日はその1回目です。
どれくらい集まるのか未知数でしたが、保護者、教員、そして中学生からの参加もあり、十人程度のちょうどよい規模になりました。
テーマは「教育」、みんなで問い出しをするところからスタート。
13時半から16時まで、という初回にしては気合の入ったスケジュールでしたが、やはりやってみるとあっという間ですね。
親子の気持ちのギャップ、
子供にどこまで任せるか、
学校の勉強と効率化、
主体性、自主性、
探究活動のあり方…
いろんな話題が出て、充実した対話になりました。
哲学対話担当の土屋先生も「初回としては理想的でしたね」という感想を話してくれました。
次回は2月の予定です!
社会とつながる文化祭
今回、文化祭1日目を終えての感想は、外に開かれた企画が多くなった、ということでした。
本校ではもともと総合学習で探究活動を行っており、探究発表会は文化祭での重要企画でした。
今年はそれに加えて、
SDGSに関する企画、
災害時行動を啓発するゲームや動画、
性的マイノリティについての展示、
フードドライブという貧困問題を支援する活動、
パーソナル・プロジェクトの発表会、
など、
いま世の中で問題になっていることに関わる企画が目立ちました。
クラスや団体で決めたテーマについて、彼らが調べ、考え、どうやったら伝わるかを工夫した跡が見られました。
もちろん、お化け屋敷やカジノなどのお楽しみ企画もあります。演劇でコメディーをやって観客を笑わせたり、みんなでダンスを踊ったり、盛り上がる企画もたくさんあります。
それらは、他に社会性のあるイベントと共存するからより良くなるのだと思いました。
なぜそれが出来てきたのか。それは普段の授業からそういう課題を扱ってきたからに他なりません。
またIBコースでは、サービス&アクションとして一定時間ボランティアを行うという課題もあります。
そういった経験が文化祭の企画でも活かされてきたのだろうと思います。
明日は台風が心配されますが、2日目です!